全国学力トップの取り組みについて (平成20年9月8日)

平成20年第3回定例会一般質問

全国学力トップの取り組みについて

続いて、全国学力トップの取り組みについて質問いたします。

先日発表された全国学力・学習状況調査の結果、秋田県は、2年連続で全国トップとの報道がありました。日本の子どもたちの学力低下が伝えられる中で、狭山市の学力向上への取り組みは、どのようなものなのか、これからどのようにして強化していくのか、この件については、この間、何人もの議員さんからご提案、ご指摘が提出されております。狭山市の教育を県下でも全国でもぬきんでたものへとしていくためには、どのような取り組みが必要なのか、そのような視点で、去る7月16日、会派視察として秋田県の教育委員会の門をたたき、秋田県の全国トップの取り組みを視察してまいりました。秋田県と狭山市を一律に比較するものではありませんが、本日は、そのことを踏まえて質問させていただきます。

まず、教育長にお尋ねいたします。

既にほかの議員の質問でも、学力向上の必要性、その取り組みの必要性は明らかにされていると考えますが、今日、教育におけるさまざまな課題がある中で、学力向上のための取り組みの必要性は、市民の期待としてどのようにお考えでしょうか。私は、狭山市の教育こそが、他市にぬきんでて優秀な生徒を輩出できる、そのような教育であっていただきたい、そう願うものの1人ですがいかがでしょうか。お考えをお聞かせいただきたいと思います。

それでは、秋田県の学力向上への取り組みをお示しし、順次質問いたします。

まず、背景として秋田県は、決してそもそも優秀な子どもが生まれる地域ということではなく、長所もあれば短所もある普通の地域であったということです。秋田県教育委員会によれば、特に算数、数学は、明治以来伝統的に成績がよくなく、大きな課題があったとのことです。しかしながら、他県に比べると、小中とも自宅で勉強する子どもが多く、それは、学習塾が少ないということも原因しているようですが、家庭学習をする生徒の多い環境にあったそうです。そこで、秋田県として、学力向上のために、平成13年から少人数学級推進と授業のみならず、放課後学習、家庭学習の環境整備に力を注いでいたそうです。加配の対象については、小学校1、2年生、中学校1年生を30人程度学級へと加配し、その目的は、学校環境の変化やギャップを是正し、生活を安定させ、学習に向かう習慣づけを目的として行ったそうです。そのほかの学年は、クラスのサイズはもとに戻しますが、必要な単元、学科によって、少人数で指導できる環境を提供しているそうです。秋田県としては、その成果をはかるために、県独自の学習状況調査を7月に行い、9月には各校に返し、県の二つの事業が効果的に運用しているか状況をチェックし、すべての学校で何を改善すべきなのか、PDCAのサイクルができ上がっているとのお話でした。

視察していた私たちは、教育の部門でPDCAという言葉が出たことで、異口同音に感嘆の声を上げたのですが、常に各校の学力向上のための分析力も身についているとのことでした。ただし、そこに至るには、県教育委員会の並々ならぬ努力がありました。秋田県は、県の教育委員会が分担して、直接すべての学校を地域の指導主事とともに訪問し、学力向上への各校の課題と秋田全県の統一した視点での課題を示し、明確化し、対策を立ててきたそうです。さらに、これまで苦手であった算数、数学の学力向上については、平成17年度に算数・数学学力向上推進班を設立し、県下どこの学校でも、ある一定の学力水準、指導水準に達するよう取り組んでいるそうです。特に、この教科については、県の教育委員会として単元評価問題をウエブサイト上で提供し、各校の状況を単元ごとに相対評価できる環境を整備しております。単元ごとに全県一斉に標準問題を行い、それぞれの学校は、教科のどの単元が強いのか、弱いのか、年次の教育を行っているさなかで、直ちに授業の評価が返ってくる。これによって、各学校の各先生方は、自分の指導の状況、子どもたちの定着状況が一目でわかる環境にあります。このシステムもことしで4年目を向かえ、各校の先生方は、補習で使ったり、また指導の前に評価問題を見て、ポイントを絞った指導ができるよう、慣例づけられてきているということです。秋田県は、そのようなシステムを全県で展開することで、学力向上の県下全校の分析力とPDCAが確立しているとの意味が納得いくところでありました。

さらに、平成20年度からは、教育専門監、スーパーティーチャーという教職を設置し、市町村ごとに希望する教科について、実績と能力のあるすばらしい先生方を市町村に加配する制度を始めています。スーパーティーチャーは、1人三、四校を担当し、各校を回り、チームティーチングを行っています。これにより、若い先生方の指導力がつき、先生による個人差が是正され、すべての教科で、県下で最高クラスの授業を提供できる環境が整備されております。

ちなみに、スーパーティーチャーはあくまでも教諭であり、特別な身分、待遇はないそうですが、受けられた先生方は、自覚と責任の中で熱心に取り組んでおられるそうです。

以上が、学力向上のために取り組んでいる秋田県教育委員会の主な取り組みですが、埼玉県の教育委員会、そして狭山市の教育委員会と比較して、どのような違いがあるとお考えになるでしょうか。ご意見をお聞かせいただきたいと思います。

これら秋田県の先進事例を踏まえて、私たち狭山市として、学力向上のためにできることはないでしょうか。埼玉県は、教育環境が当然、秋田県とは違うと思います。しかしながら、学力向上に向けて教育委員会が意欲を持って取り組んでいくとすれば、必ず狭山市としてできること、参考になることがあると思います。全国学力・学習状況調査の結果と課題について、先般この議場において、狭山市は、ほぼすべての教科で全国の平均点程度との報告がありましたが、私たちの狭山市の学校は、学力向上に向けた課題が秋田県と同じレベルで各校のもとに明確にされ、取り組まれていると言えるでしょうか。

学力向上のPDCAの取り組みと学校訪問指導について。学力向上のために日ごろ行われている取り組みがきちんと目的を立て、目的に合わせ実施され、その結果が評価され、次の課題に向け行動するというPDCAのスパイラル構造がきちんと確立されているでしょうか。そのような視点で、地道な学校訪問が教育委員会の手で日ごろ行われているでしょうか。

狭山市は、既に加配については進んでいると思います。しかし、この加配について、子どもたちの家庭学習などの習慣形成や学習意欲の醸成、総じて学力向上という目的づけが行われているのでしょうか。

共通の単元評価問題の導入と各校の相対評価について。秋田県がぬきんでていることの要因の一つである算数、数学の単元評価問題というシステムについて述べましたが、狭山市として、そのような環境整備を検討してはどうでしょうか。各校の単元の成熟度と相対評価が日常的に一目でわかる、このようなシステムは、あるとなしでは課題の明確化に大きな差が出ると考えますが、いかがでしょうか。

教師の指導力向上に、教育専門監の導入について。教育専門監、スーパーティーチャーという制度について、各学校と各先生方の指導水準の向上、平準化のために今後埼玉県とも相談し、狭山市として取り組まれてはいかがでしょうか。

以上が私の1回目の質問です。ありがとうございました。