環境事業の最初のきっかけとなったのは2000年の夏、「コクチバス」の発見だった。埼玉県で2例目のことだ。「生物多様性条約」を学び、自治体で取り組むことの意義を説いた。農林水産省からの補助金を得、流域市町村とともに早速駆除事業に取り組んだ。2001年から5年間、ブラックバスの駆除と生態調査を目的として小学校の協力の下、地引き網を行った。そのことが入間川小、入間川東小の環境学習事業の始まりだった。小池百合子氏が環境相の時代「外来生物法」を施行する5年前のことである。
つづいて、2002年、私は市に提案をした。市民や既存の環境団体を母体とし「狭山市環境基本計画」を策定すること。そして今日までに、そのことがきっかけとなり狭山市の環境事業を代表する「さやま環境市民ネットワーク」の設立され活動している。
さや環は、小学校の環境学習の母体として20有余年活動を続けてきている。
小学生との出会いは私たちにも多くの恵みをもたらしてくれた。河原で水生生物を、岩石を、野鳥を植物を学び、水質検査をし、そしてカヌーに乗ることで日常では気づかなかった異世界を確かに感じることができる。この世の中は人の生活圏だけではなく、数十億年もの間紡がれてきた「ふるさとの自然」と言う物がある。私たちは都合によりそれを侵食しては来たけれど、狭山にはまだ手つかずのものも残っている。子どもたちの純粋な目はそれを逃さず見つけ出し、自分のものへと消化していく。
ふるさとの自然は一人一人の心で守られている。私も言い出しっぺの一人、放り出すことは出来ぬもの。政治の世界は己を見失ってしまうことが多いけれど、地元の自然は、自分と自分のありかを心の中に何度も何度も問い正してくれる。いま河川敷を歩くとき、そこには人の生活圏とは違う自然の聖域に気づく。そして感動し魅了される。そのような平行世界の中にもしかしたら、人の社会に役立つ何かが見つかるかもしれない。
FaceBookを続けているが、SNSでは書き残した記録がいつまでも保存されない。
そこで自らの名をドメインに冠したWebサイトに、入間川流域に棲息する野鳥、昆虫、魚、及び植物に関する観察ノート・画像集など記録を残すことにした。
ここに書かれたデータや画像は個人や学校、団体などで自由に利活用して頂ければ幸いだと思っている。
2024/07/20 入間川自然観察人 さやま環境市民ネットワーク 伊藤 彰