地方分権社会における狭山市政のあり方について (平成18年9月7日)

平成18年第3回定例会 一般質問

1.地方分権社会における狭山市政のあり方について

おはようございます。

議長のお許しを頂きましたので、7番未来フォーラム伊藤あきらの一般質問をさせていただきます。


①市民参加の8つの梯子について

この夏私は2回にわたって、元三重県知事である北川まさやす氏の講演を拝聴する機会に恵まれました。

北川氏は、ご承知のとおりマニュフェスト・政権構想を世に提唱し、また地方分権社会の到来を主導されておられる、日本で第一人者と言えます。


氏の講演の骨格は、既にこれからの国家社会は、従前の中央集権に戻ることはあり得ないこと。国の財源をあてにしない、独自の地域社会の形成する事が求められていること。そのためにも、しっかりとした地域行政の形成と地方議会の強化が不可欠と言う内容であります。


市長の提唱している、持続可能な市民サービスの提供を図るためには、これからの社会は市民自らが、行政と協働し、あるいは行政に成り代わってサービスを行う・・そのような地域社会づくりが必要と考えます。

3月定例会において私は、読売新聞社の世論調査を基に、情報公開と市民参加について、市長の提唱している「元気な狭山をみんなで創る」との政策課題とは何か、質問いたしましたが、さらに今回は、市民参加の市長の理想と仕組みづくりについて質問して参りたいと思います。


まず、冒頭ですが、アメリカの社会学者シェリー・アーンスタインによって示されている市民参加の8つの梯子という考え方について、「元気な狭山をみんなで作る」とする市長の理想をこの8つの梯子に例えるとどのようなものか。質問いたします。


8つの梯子とは、行政が住民の参加を図ることに8つの段階があると言うことです。

まず、1目は 操りの段階 操りの市民参加とは、趣旨や役割の不明確なまま操られた参加を意味します。

2目は セラピーの段階 慰めの為のお飾り市民参加であり、行政に利用された参加です。したがってこれらは、この社会学者によれば、市民参加とは言えません。

次に3っつ目は、 お知らせの段階 これは行政の方針をお知らせするだけで形式的市民参加です。

4つ目は 意見聴衆の段階 これはアンケートなど、市民に与えられた役割の内容を認識した上での参加であり。 5つ目は 懐柔の段階 これは行政主導で住民の意思決定が行われますが、市民の主体的参加ではありません。

したがって、これら3つ目,4つ目.5つ目は印(しるし)としての市民参加であり形ばかりの住民参加と言われています。


そこでつづいて6つ目は パートナーシップの段階 これは住民と行政との協働であり決定権の共有を意味します。

7つ目は、委任された市民パワーの段階 すなわち住民主体の活動を積極的に取り入れた形となります。

8つ目は、住民によるコントロールの段階 責任ある住民主体の活動に行政が巻き込まれていく形。

そして、これら6つ目以降の梯子が市民の力が生かされる本当の意味での市民参加であると、シェリー・アーンスタイン氏は述べています。


さて、仲川市長の理想としている梯子とはどのようなものなのでしょうか。


また、市民参加による行政運営とは、日本社会において、本当の意味では、これからの行政モデルであり、行政にも、住民の側にもまだまだ課題が多いと思いますが、現時点での狭山市政は率直に言ってどのような市民参加の段階とお考えでしょうか。仲川市長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。


さらに市長にお尋ねいたします。現時点での狭山市の市民参加の状況は、市長の理想とは隔たりがあるのか、どうか。 もしあるとすれば、今後どのような方法で、より制度ととして深まった市民参加による行政運営を実現していくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。


②NPO法人との共同事業や共催の規準作り

次に、市民参加による行政運営については、今後益々その必要性が増して参ります。財源の厳しい、また限られた人員で、その総力を図ったとしても限界のある行政組織だけで、これからの多種多様な行政ニーズに答えていくことは困難です。

既に、狭山市においても社会的貢献を図る法人組織、特定非営利活動法人が複数設立されています。それらは、行政ニーズに対する、行政の負担を軽くし、行政の社会的役割を保管する力を持っています。


市長が、市民参加による行政運営が必要であると考えるのであれば、少なくとも市長の必要と考える分野について、市民を組織し行政と協力関係の結びうる団体の設立や、NPO法人の設立についての支援も、狭山市にとって有益なことと思います。

今後そのような意味でも法人設立について設立支援体制を整える必要性を感じますが市長のお考えはいかがでしょうか。


さらに、NPO法人や市民の地域貢献組織と共に事業を行っていく場合、今後その協力体制について、強化して行く必要性があります。

現在例えば、NPO法人など地域貢献組織の事業について、後援・協賛などの名義使用がありますが、これらは申請制度で対応し特に問題のない場合後援の名義使用許可が得られるのですが、実質的には、主催者の印刷物で後援を表記するだけで、強く働きかけることがなければ、それ以外の後援体制はありません。


後援と称した以上、市として最大限支援すべきと考えますが、例えば市内諸施設へのポスターの掲示、施設の優先的提供、担当課の全面的協力など後援・支援の体制を定式化し制度化する必要せいを感じますがいかがでしょうか。

いずれにしても、後援とは何か、協賛とは何か、それぞれどのような取り組みと姿勢で関係していくものか、明確にする必要を感じます。


さらにNPO法人など、地域貢献組織との共催などの協働事業について今後さらに必要な場合が想定されますが、市には現時点で市との共催の規準がありません。規準がないために共催が出来ないなどとの状況がありますが、今後共催とする要件、条件、などについて規準を整え対応していく必要を感じますがいかがでしょうか。

また、市としては、市民参加による行政運営を進める立場から、どのようなジャンルで、どのような事業について協働事業を図るか、市民の参加を促していく意味で現時点の考えをお聞かせいただきたいと思います。


③公費選挙の見直しについて

最後に地方分権社会の到来というテーマですが、少し視点を変えて、市の自己決定権の認識で、公営選挙制度について一点質問いたします。


現在選挙ポスターについては、公費で負担されています。これらは総務省の規準に基づいて金額が設定され、それを市の条例として制度化しているわけですが、私はかねてより、この選挙ポスターについては、その上限が高すぎると指摘して参りました。現時点で満額請求すると、ポスター一枚換算で2000円程度となってしまいます。

最近の選挙では立候補者のがわも様々な努力をし満額の請求も幾分減少して来ましたが、印刷の実勢価格としてもこの高すぎる選挙ポスターの公費負担の上限について、総務省の方針の如何にかかわらず、狭山市の自己決定権を行使し行政改革の対象として通常のポスターの価格に引き下げるべきと考えますが、市長のお考えはいかがでしょうか。

以上で私の一回目の質問を終わります。