3市消防広域組織の設立について (平成15年9月8日)

平成15年第3回定例会一般質問

3市消防広域組織の設立について

1,広域消防組織の設立の背景と理念は

まずはじめに、先日議会にも報告されました。狭山・入間・所沢 3市の消防広域組織の設立について質問いたします。

3市消防組織の合併が、ここで方向つけられました。先日議員向けにも通知されたとおり、3市は協定書を結び10月から広域消防組合の設立に向けて動き出そうとしているわけでありますが、合併を決断したその背景と、今日的消防業務の課題についてあらためてお尋ねいたします。

既に提出されている資料によりますと、狭山市の消防職員の高齢化や人員不足の中で、今日的な消防業務の必要性に現状のままでは耐えられない状況があるようですが、3市消防の合併後は人口約65万人の広大な地域がその守備範囲となり、地方では政令市クラスの組織とも思えます。

合併することでさらに高度な消防体制の構築が問われることと考えます。

そこで消防長がお考えの今日の消防組織のあるべき姿はどのようなものなのか、また3市統合に向けたビジョンはどのようなものなのでしょうか、統合にあたって準備室において議論をするには、まず狭山市としての将来展望を示していくことが必要と考えますがいかがでしょうか。

さらに市長には、なぜ狭山・入間との合併ではなく、所沢も含めた、3市の消防単独合併を目指すのか、市町村合併との関係からもその所見をお聞かせいただきたいと思います。

市町村合併においては、まず入間と先んじて合併し30万都市を目指し、体制を整えその上でさらなる合併が考えられると想いますが、消防業務についても、その対象人口に応じてその業務内容が相当高度に変わってくると考えます。

人口30万レベルの消防業務を飛び越えて、政令市にも相当する65万人規模の消防行政となると狭山の実体からしてかなりの乖離がある様におもいます。

その辺についてのお考えも含めてお聞かせいただきたいと思います。

2,今日の消防組織のあり方について

火災原因調査等予防業務の重要性について

今日的な消防のあり方はどうあるべきか、消防業務にも、それぞれの専門分野があり、狭山でも総務、予防、警防、救急、通信指令と人員配置がなされ担当化されております。報告によりますとそれぞれについてさらに高度化する必要性が求められているとのことでありました。

しかし3市の消防業務は、守備範囲の規模人口規模、予算的裏付けの中で必要なかたちで地域性を考えた業務の特徴があるようです。3市の「消防署組織に関する規定」を見比べてみるとその辺の違いが現れているように見受けられます。

例えば狭山市は条例や規定から見ても火災原因調査などの予防業務についての力点が少し弱いようですがいかがでしょうか。


一方で今日、総務省消防庁の見解を見ると、新宿歌舞伎町の雑居ビル火災をうけて消防条例等による許認可業務の拡充や火災原因調査の専門化など予防業務の拡充を力説しています。

ここで問題なのですが、既に提出された3市の消防業務の統合に向けた報告書の中で論じられている内容は、どちらかというと予防業務以外の分野に力点が置かれている様にも見受けられます。

火災原因調査は、消防法に基づくと、消防行政の柱だと思います。

その点の遅れが、3市の統合に当たって問題となるように思いますがお考えはいかがでしょうか。

消防行政の柱である、火災原因調査など予防業務が、狭山市のこれまでの体制では少し位置づけが弱いとするとその点進んでいる所沢消防署に対し、火災現場などの重要な業務で狭山消防署の主導性が発揮できません。

狭山市はこれまでのあり方をあらかじめ見直していかなければなら無いのでは、ないでしょうか。

3,3市消防組織の合併に向けた準備態勢について

統合する3市の中で、これまでの体制上弱い部分を持ちながら統合組織が設立されていくとすれば、これまで培ってきた狭山市の人材が充分有効に活用される機会が失われてしまいます。

統合に向けた準備態勢をしっかりと構築し狭山市の消防署員の狭山に於ける知識と経験が十分発揮できるよう配慮する必要があるのではないでしょうか。

昇級試験制度についての所見は

また、入間市・所沢市には昇級試験制度がありますが、狭山市は現在昇級試験制度を廃止しております。

結果として年功序列型の昇級となっておりますが、このままでは、人事において狭山市の職員が正当に評価されづらい状況があると思います。このような問題についてのどう克服されるのでしょうか。

現職消防職員の待遇の充実について

入間市と所沢市には既に、職員の技術と能力がより客観的に評価される昇級試験制度がある一方で、狭山市がそのような制度が無いとすると既に技術と能力のある職員が十分な待遇を受けられないこともあり得ます。

統合にあったての準備としても他市の状況を充分検討し、職員のさらなる研鑽と他市の評価に引けを取らない待遇をあらかじめ用意する必要があると思います。

狭山市民にとって、大事なことはとにかく火災発生時は、一刻も早く火災を鎮圧できるために狭山の地域を熟知した職員が十分に配置されることが大切と考えます。

そういう意味で、他市と統合してから消防業務のあり方が大きく変わってしまうとすると、既に狭山の地域状況を知り尽くしている職員が結果として後ろに回されてしまうことも考えられます。

狭山市の弱い点があるとすれば、先んじてそれを改善し、他市の職員と対等に配置され、さらに、新しい近代的な消防業務に職員も希望を持って職務できるよう、市としての統合前の準備態勢には、手抜かり無く取り組まれたいと考えますが消防庁のお考えはいかがでしょうか。

2回目の質問

市長、調査を進めていく中でこの問題は、大変重要な問題であることが分かりましたので、あえて2回目の質問をさせていただきます。

市長は「消防広域化基本計画の見直しについて」という平成13年3月30日付けの消防庁長官の通知があることをご存じでしょうか。

ここで述べられていることは、「広域行政制度」については、一般的に責任の明確性、意志決定の迅速性、人材確保等の観点から問題があり市町村合併により意志決定及び事業実施主体を単一化することがより効果的であるとされています。さらに広域行政制度を採用された場合消防と防災を担当する組織が異なるため、災害対応において、必要な情報の共有化、速やかな意志決定など迅速、的確な対応等の面で問題が生ずる可能性があるとまで明確に論じられています。

また一部事務組合、広域連合等の場合単独市町村の消防本部に比べてコストが割高になるとまで述べられていることはご存じでしょうか。

すなわち、既に平成13年の段階で総務省自体が、市町村合併に向けて本格的に動き出すなかで、消防の広域化と高度化の手法についても市町村合併こそがもっとも理想的であると言明するに至っているのです。