「生物多様性」新国家戦略に対する市の見解について 平成14年3月12日

平成14年第1回定例会一般質問

「生物多様性」の新国家戦略に対する狭山市の見解について
---「生物多様性」新国家戦略の説明---

 今回の私の一般質問は、先月15日に公表されました、「生物多様性」新国家戦略についてご質問いたします。
 この新国家戦略は、中央環境審議会で現時点では素案としてまとめられているものです、すでにインターネットで公開されて公論に伏され、Mailなどをとおして意見の聴取もされています。私は、新国家戦略が正式にまとめ上げられて行く課程である段階から、当事者である私たち地域の者たちがその内容を議論することがとても重要であると思います。
 ところで、今回の新国家戦略は95年の国家戦略をより発展させ、絶滅危機の動植物に対する対策にとどまらず。
 里地里山や、都会での自然と生態系など国土全体における生物多様性の確保と日本の自然保護政策の基本方針をまとめたものとなっています。
 「生物多様性」とはわかりやすく申し上げれば、-----地域ごとの在来の自然生態系をありのままに保全し、なおかつ持続可能な利用をどのように行うか---という命題であると思います。
 私は、この「生物多様性」の理念が人類社会に明確に位置付いたことにより、およそ環境政策というものが質的に変わってきていると感じています。
 すなわち、汚染物質の流出などの環境破壊を防止するための施策から 自然の動植物と共生する施策。または環境破壊を抑制する施策から、破壊した自然を再生する施策に本質的に変わったのだと思うのです。
 「生物多様性」とはっきりと国際社会で、そして国家方針の中で自国の自然の尊さが生物生態系の大切さが位置付けられたことによって、いったいどこまで突き進むのか、誰も知り得なかった自然と人間の対立のパラダイムが、明確に共生の道に変わってきたのだと思います。
 そのことをもっともっと多くの市民に、住民に知っていただかなくてはいけないと思います。
 今年度のコクチバス問題のように狭山市もそのような立場から可能的な施策を行ってきているわけですが、「生物多様性」は、環境省が取りまとめたものであっても、各地方自治体の主体的取り組み、積極的な位置づけが無くては決して全国の支配的な部分に於いて成し遂げられることは無いと思います。それだけ地域の自治体・あるいは住民の日常からの取り組みが大切になってくると思います。
 そこであらためて今後の狭山市の環境行政の中でどのように位置づけていくのかいくつかの点についてお尋ねして参りたいと思います。                          

1,コクチバス等 外来移入種の駆除 入間川生態調査等の現時点の成果と今後の取り組みについ
  まずはじめに、今年度他市を先駆けて着手しました魚種生態調査と外来魚駆除事業についてその成果と今後の取り組みを環境部長にお尋ねいたします。
 この事業は、まさしく「生物多様性」国家戦略に基づき、地域の生態系を守る事業としてとても重要な意味を持っていたと思いますがいかがでしたでしょうか。

2,流域市町村統一行動の意義と限界について
 そしてその事業を通して狭山市は、県や他市町村をも巻き込んだ原動力となり、新聞等でも多数扱われましたが、今回水産庁の予算も付き昨年の11月以降、県と上流市町村と時を同じくし、外来魚駆除事業が始まったようですがその意義についてはいかがでしょうか。

3,河川環境政策の今後の課題について
  またさらに、コクチバス等外来魚駆除についての位置づけにとどまらず今後の河川環境政策には、以前から私が申しているように流域全体の取り組みが必要だと思います。
 たとえば、これは新国家戦略でもふれられているのですが、1996年から97にかけて行われた、鶴見川流域における生物多様性保全モデル地域計画の策定においては、環境省の他、専門家、関係自治体、河川管理者が参加する検討委員会を設置し、生物多様性に関する情報の収集と整理を地域住民・NPOと、ともに行い計画を策定し、2001年には「鶴見川流域マスタープランに向けた提言」をまとめ上げています。
 現在は流域市町村で流域水マスタープランの策定と実施に向けて取り組まれておりますが、その内容は、国土交通省、横浜市、川崎市、町田市と都道府県をもまたがり、単に「生物多様性」にとどまらず、治水、利水、流域の農業経営、雨水対策、下水道、文化、危機管理、水関連法制度の整備など河川に関わるあらゆる問題についての協働研究が始まっています。
 また平成11年狭山市議会第2回定例会の場で私は、流域市町村を巻き込んみ「保水の理念」を素とした新たな河川政策の先鞭を付けるよう提案いたしました。
 それに対し町田市長は、水源林確保のための施策や自然護岸の整備を県及び関係市町村に積極的に働きかけると答弁し、実際に名栗村の水源地の森林保護活動に協力されるなど様々な取り組みをされてきたこととと思います。
 新戦略のなかで国は、水源地の山林を水土保全林と位置づけ、間伐などによる二次林の管理と、より保水力の高くまた本来の原生林に近い広葉樹林への転換などを通し、生物多様性の高い自然の回復を謳っています。
 先日名栗村長をお訪ねいたしましたところ、特に水源地の森林の水土保全林としての再生については、村内山林の約25%も村有林として所有して居ることから、何とかして財源を確保し、自治体として森林の再生事業を行いたい旨意欲的にお話ししておられました。
 そして名栗湖でも多数捕獲されましたコクチバス問題とあわせて、上流から下流域のすべての市民住民の共通の問題として、水環境の問題に理解を求めておられました。
 今後、協同で環境省や国土交通省に予算を求めることは勿論、流域各市の税金を直接投入する事も含め、すでに荒廃し始めている入間川源流域の2次林を水土保全林として再生するために、基金の創設など様々な資金的手法を検討し、豊かな川の流れの再生と河川周辺区域の「エコロジカルコリドー」(生態的回廊)としての機能の回復について取り組んでいただきたいと考えますが部長はいかがお考えでしょうか。

4,くぬぎ山地区 自然再生事業について
 次に今回の「生物多様性」国家戦略に於いて直接言及されるに至りましたくぬぎ山 自然再生事業について質問します。まず環境省の補助事業として実施される訳ですが、現在の状況についてご説明願います。
 さらに、今回は「生物多様性」国家戦略に位置づけられたものであり、やはり明確に動植物のいかなる状況を再生するのか問われてくると考えますが、その辺については現在の認識はいかがでしょうか。
 たとえば同地区は昔から武蔵野の雑木林としてヒラタクワガタと呼ばれるクワガタムシなど昆虫類が豊富で、また近年ではおおたかの生息などでも議論があると思います。市としてこのような動植物の保護と自然の再生についていかなる見識で臨まれるのかお尋ねしたいと思います。生態調査などは是非とも、市民を巻き込んで行っていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

5,「生物多様性」国家戦略をはじめとする環境政策について狭山市の考え方
 以上「生物多様性」国家戦略に伴ういくつかの点について質問して参りましたが、最後に市長に総括的にお尋ねいたします。
 先にも述べたように、かかる「生物多様性」を巡る議論は、たとえ環境省がすばらしいグランドデザインを描いたとしてもやはり地域の市町村がきちんとした見識とプランをもって何らかの取り組みを始めないことには、残念ながら絵空事に終わってしまうと思います。やらなければそのままですんでしまうかもしれません。
 ですけれどやはり自分たちが住んでいる地域の自然環境は、郷土愛や豊かな市民生活に直接関わりますし、このような環境政策はとても重要と考えます。
 そこで次の視点について考慮に入れ今後の市としての取り組み方についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
1, 「生物多様性」の見地にたって狭山市の地域特性をどのようにとらえるのか。
2,狭山市の場合人為の働きかけによる再生と保全が必要と考えますが、どのような取り組みは可能でしょうか。
3,「エコロジカルコリドー」(生物的回廊)としての河川区域の位置ずけと、河川敷公園、その他施設建設時における配慮について。
4,武蔵野の雑木林の連続的な保全。
5,河川や雑木林の生態系の科学的調査について。
6,指標動植物等の設定について。 
7,「生物多様性」を新環境基本計画のなかでどのように位置づけるか。
8,NPO・市民ボランティアの育成と協働について。
9,環境教育における体験学習・野外学習の活用について。
10,周辺市町村との協動について。 
以上の点にふれながら今後の狭山市における生物多様性についてお考えの部分をお聞かせいただきたいと思います。
 以上で一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
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