IT革命について 平成12年3月9日

平成12年第1回定例会一般質問

IT革命について


「IT革命」と言う言葉をよく耳にするようになりました。ご承知のとおり情報技術革命のことであります。

世界史的な意味において、この情報技術革命を基幹とする第3次産業革命が始まっているという見方は、すでに一部の経済学者の評価ではなくなっています。

日本における高度情報化社会の到来は、なかなか難しいのでは、とされて参りましたが、昨年NTTが携帯電話機によるインターネット接続サービスを開始すると、瞬く間に予想を遙かに上回る加入があり。他社の形式もふくめ携帯電話だけで500万人の利用が始まっています。

このことによって、「IT革命」の言葉は、時代のキィワードとして早くも経済界・産業界でそして政治の場面でも活用されるようになりました。

この情報技術革命は、たとえばかつてモータリゼーションンが、時代のパラダイムを変革したように、新しい時代のパラダイムを作り出すと言われています。すなわち情報技術革命が時代の支配的な物の見方や生産様式の典型的かたちを変えてしまうと言われています。

どういうことかと申しますとたとえば巨大な金融資本が、兜町に豪華なビルを構えていることが、あまり意味のない事になってしまったり、丸の内で従業員を多数擁している巨大企業こそ、経済界のリーダーであった時代が終わりを告げようとしているのです。

到来した高度情報化社会は、的確な情報と良質なネットワークを持った「小さな者」こそが時代をリードしうるとされています。

さて、そのような産業構造の変革期、市民の生活様態の移行期にあって地方自治団体は、いかにして高度な情報技術をとりいれ活用し市民生活の福利厚生に資すればよいのでしょうか。

この問題は、もちろん一人狭山市だけの問題ではなく見識ある全ての地方自治体の共通の課題となっています。本議会においても、これまで同僚の田村議員、奥富議員などによって高度情報化についての様々の提言がありました。

2月15日付けで発行された全国市議会旬報によりますと、昨年12月の全国の市議会において「インターネットの有効活用に資するための法整備促進」を求める決議が、他のあまたあるの決議案のなかで最多件数にのぼっていることが伝えられています。同紙によると平成10年のインターネット人口は1700万人に達し3年前・5百万人の3倍以上に達しています。狭山市でも約2万人を超える計算になります。

狭山市では、図書館蔵書のインターネット検索システムを昨年10月に稼働し、小中学校におけるコンピュター導入も平成12年度予算が本議会を通過すれば全校に完備するなど、最先端技術の導入を図り、それぞれの部門において高度情報化が実行されて参りました。

町田市長をはじめとする関係者の皆様の努力を高く評価するものであります。

ここで21世紀を目前にいくつかの点について質問させていただき、私からの提言を述べさせていただきたいと思います。


まずはじめに、災害対策の観点からお尋ねいたします。昨年11月の自衛隊機墜落の際、狭山全市、長時間の停電という事態の中で、防災無線放送が、事態の重大性に比較して市内各所であまりにも聞き辛く、非常時における災害情報の市民への伝達に問題があることを示しました。

同じく11月付けで作成された「狭山市地域防災計画」によりますと第2編第4章「災害情報体制の整備」のなかで各種メディアの活用が掲げられインターネットホームページの活用もうたわれています。

しかし一方で第3編第3章の「災害時の広報・広聴」においては広報手段として1・防災無線2・広報車3・職員現場報告 などが明記されていますが、インターネットの活用の事項はありません。

たとえば、聴覚障害者の皆さんは、11月の墜落による停電災害の時、携帯電話によるeメールのみが情報の入手手段であったと聞いています。

計画にある広報手段の6・ファクスネットの活用もある程度有効とは思いますが停電の事態では使い物になりません。

インターネット・携帯電話によるeメールなどもっと多機能なそして複合的な方法を模索し早期に整備すべきと考えます。

さらに観点を変えますと、川口市では東京都の北区・足立区と光ケーブルで結び防災や荒川に関する情報を相互に交換する取り組みを始めるそうです。大震災のとき被災地状況や帰宅情報、足りない救援物資のデータなど交換し合う事を郵政省の「広域的地域情報通信ネットワーク整備促進モデル構築事業」として行うことが伝えられています。

狭山市でも不老川流域対策推進協議会が2月8日に設立され不老川雨水対策の広域的取り組みが始まりました。このような河川対策も含め都市間の防災ネットワーク作りが必要と思います。

一方防災事業として衛星通信ネットワーク整備事業が進められる予定とお聞きしています。都市間の情報交換と市民への高次的な情報公開・情報収集について現在どの様な構想をお持ちでしょうか。また現時点での防災情報体制はどの様なものでしょうか。

環境部長にお尋ねいたします。私は、これからの情報技術革命の時代をにらんで個別防災対策について高度情報化の促進を行うだけでなく、光ケーブルなどを活用する一方、携帯電話やeメールでもアクセス可能で何よりも非常時において市民と双方向の情報伝達手段として即効力ある市内災害情報ネットワーク作りを研究する時期に来ていると考えます。くどいようですがそのかたちは双方向のネットワークであることが重要だと思います。


次に、高齢化社会に向けて情報技術革命をいかに活用していくかご質問いたします。本年4月より実施される介護保健法を中心に我が狭山市においても高齢化社会にむけた準備を進めて参りましたが、日本の伝統社会において、家庭による介護こそ当たり前という意識は、まだまだ市民の中に根強く存在しています。欧米型の社会的介護について心のケアーに対する懸念も伝えられています。もちろん狭山市内の生き生きとした各種介護施設を拝見する限り施設の皆さんが意欲的に解決されることは自明でありますが。

たとえば、高度情報技術を高齢者福祉に活用すると、テレビ電話やインターネット会議の技術を使って特別養護老人ホームに入居したお年寄りは、いつでも自分のお子さんやお孫さんの顔を見ながら話をすることも可能です。また社会的介護についても独居老人へ医師や介護サービスの担当者が顔を見ながらコミュニケーションを取ることも可能です。

このような技術は過疎地の高齢者対策ですでに試験的に実施されていますが、近い将来狭山市のような規模の市でも低予算で可能になるのではないでしょうか。

福祉部長にお尋ねします。狭山市は一人暮らしのお年寄りに、すでに緊急通報装置が設置されていますが、さらなる将来構想として先に述べたような高度情報技術を取り入れた次世代型の情報ネットワークを研究してはいかがでしょうか。特定の職員さんが使うものとしてでは無く、誰でも双方向で活用できるネットワークとしてお考えいただきたいと思います。


最後に次世代型のまちづくりについて、質問いたします。12月の一般質問で私は、狭山市らしい商業の発展について市長にその展望をお尋ねいたしました。

市長はその回答で、以下のようなお考えを表明されました。

市内各地の地域性を生かした商店街の形成により一層の努力をすること。そして特に中心市街地においては桜並木構想と合わせて進める入間川河川敷と堤防内の一体的整備によって駅から入間川までの一大商業観光ルートを形成し市民が誇れる活気あるまちづくりを構想しているとご回答くださいました。

まちづくりの具体的かつ現実的な構想であり一市民として大変感銘いたしました。

商店街の活性化、この全国的課題の中でいかにして狭山市は答えを出して行くのか、私も市政に携わるものとして真剣に考え模索しているところであります。

そこで、本日は、私の方から中心市街地活性化法の適用地域にとどまらない全市の商店街の活性化に寄与するために高度情報化技術について提言いたします。

現在行われている中心市街地活性化法基本計画策定委員会に提出された狭山市の活性化事業を見ると、先ほどから述べている高度情報化関連として、次のようなの内容が示されています。

商業施設・商業基盤整備 事業の項では

2,狭山市駅西口 市街地再開発事業による商業施設整備として・商業機能だけでなく、情報発信などの機能がうたわれています。事業主体は都市基盤整備公団です。

7,案内・サイン類の設置事業として

・商店街や主要施設を案内するサイン類の設置がうたうわれています。

共同サービス事業の項で

13、カード事業の推進として

商店街だけでなく公共公益施設、金融機関、医療機関など複合的カードシステムの構築がうたわれています。

14,共同宅配・御用聞きとして

インターネットなどを活用した宅配サービスの連動がうたわれています。

16,中心市街地周辺交通効率化システムとして

インターネット・カーナビを使った混雑情報・駐車場あき情報の提供がうたわれています。

17,仮想商店街事業として

店に行かなくても買い物が出来る電子決済システムがうたわれています。

情報発信事業の項では

18,インターネットによる情報発信事業としてホームページ等による商店街イベント情報・消費者意識調査がうたわれています。

これらの情報技術関連の内容はすでに基本計画を提出している川口市や宜野湾市などの内容に比べて実に充実していると申し上げる事が出来ます。

これらの事柄をつなぎ合わせ一つのシステムとして完成すると市民の生活は以下のように変革します。

たとえば朝早く車で駅に向かう時、駅前駐車場の空きスペースチェックが出来ます。[駐車場効率化]。

仕事先から、住民票や印鑑証明の発行依頼が出来ます。仕事を終え、帰路につき、駅をおりると電子掲示板にその日の安売り情報が見られます。

帰宅して家庭からネット上で商店街のお店の女将さんと相談しその日の食材が買えます[電子ご用聞き]。

注文を終えると自動的に料金が支払ます[電子決済]。

数十分後お兄さんが宅配ピザのようにやってくる。運んできたものは、食材だけではない、切らしていたシャンプーや、子供の文房具やお父さんのビールも一緒に持ってきてくれます[共同宅配]。

画面上で買い物と同時に、入間川の桜の開花情報や市内のイベント情報を調べたり、市民会館の映画のチケットも買える[インターネットイベント情報]

仕事が休みの日に商店街を訪れると、食材を相談をした店の女将さんにあえる、月に数度しかあえないとしても毎晩ネット上で買い物の相談をしているので話も弾みます。商店も常にお客様とコミュニケーションを交わしネット上でも顧客のニーズ・ウォンツを把握でき商品が回り始めると、意欲的な品揃え、店舗経営に力を注ぐことも出来ますし、配達や電話番から解放され店の掃除やイベント準備の時間も作れます。

すでに中心市街地活性化法基本計画で示された要件をすべて実行するとまちの交流が復活し心の通った地域を再生出来ると考えます。中心市街地で実験し実績をあげて全市に広げてゆくことで、まちの機能が狭山市中で生まれ変わります。

ところで、このような高度情報化された市街地再開発事業要件は、国の中心市街地活性化法関連支援施策のなかでも大きく取り上げられています。また国が重点支援する視点においても情報化の内容は独自性・先進性の中で強くうたわれています。

このような情報技術革命を用いた商業活性化策は、市街地が活力を失ってしまっった事由、すなわち自動車社会の成熟による郊外型量販店の台頭やコンビニエンスストアーの登場による専門店の影響など社会的に消費者の購買様式の変化によって生じていた問題に直接的な打開策となる可能性があると考えます。

新時代の情報技術革命が停滞する商店街を活性化する切り札になる要素が認められるのです。まさしく新たなパラダイムチェンジであります。

狭山市の商業の活性化に向けた情報通信事業の社会基盤整備は「まちづくりの論理」の中で市が直接働きかける事が必要と考えますが狭山市の現在の構想と将来のお考えをお聞かせください。


最後に市長、ここで提案があります。先に述べた防災上の理由、高齢化社会に向けた情報技術革命の活用、そして新次代のまちづくりで示されている内容、さらに学校間、図書館、住民票発行などの行政サービスも含めてすべてのものを統合し、より実現可能で、かつ市民が取り扱いしやすいシステムは何かぜひ総合的な研究に着手していただきたいと思います。

私は、電話回線を使ったインターネットの活用も現実的なかたちと思いますが、さらに一歩進めて、将来的に全市を網羅する光ケーブルを情報通信における社会基盤整備・情報インフラとして市が整備することも考慮していただきたいと考えます。

光ケーブルならば、電話回線の規格上の9800ビットパーセコンドという実に限られた情報密度を遙かに上回る双方向の通信が可能ですし、行政が施工することで高い回線使用料による高度情報化技術の普及の弊害にも一石を投じることが出来ると考えるからです。

光ケーブルすなわちそれは情報ハイウエイであります。ハイウエイですから道のように誰でもいつでも使える情報通信網です。おそらく都市計画道路を一本抜くよりも遙かに安く実現できると思います。

家庭での情報端末は、パソコンはもちろん、プレイステーション2などの各社のテレビゲーム機、携帯電話など様々なものが利用可能です。あと10年もすればもっと安価で高機能な情報端末が世に出て来ることでしょう。

ハイウエイを造り自動車社会が開花したように情報ハイウエイを整備することで狭山市の情報技術産業が開花します。スモールオフィス・ハウスオフィス(SOHO)を指向する起業家達が集まります。第2の孫正義氏が狭山市から誕生するかもしれません。新たな企業を創出し育成するインキュウベーター機能も必要になります。

そのような時代を目前に行政の側が何の準備もできず研究が遅れ、結果として、後の世、市販の安いシステムで十分対応できることに、大手コンピュウタ会社のパッケイジシステムに巨額の経費を掛けざるをえなくなることを私はおそれます。

このような構想の検討母胎についてはかつて庁内のイントラネットを職員により検討し実行した様に職員の皆さんから立ち上げるのも良いでしょうし、また狭山市を愛する商業者、情報関連の事業者、パソコンオタクなどをあつめ市民を巻き込みんだフォーラムを造り研究しても良いと思います。結論をいそぐ必要もありません。1年2年かけてでもどんなシステムが可能なのか、お金を掛けずに出来るのか検討していただきたいと思います。




光ケーブルを基幹としたタウンイントラネットを狭山市独自の情報ネットワークとして研究し、狭山市のあらゆる行政サービスを市民に提供する。「インテリジェントシティ狭山」を全国に先駆け構想されることについて市長の所見をお伺いたします。

以上で私の1回目の質問を終わります。ありがとうございました。