入間川の水源地の再生について

日本の河川は何処も同じ問題を抱えています。林業の衰退で水源地林が荒廃しているのです。先日の大分県中津市耶馬溪の土石流では6名の人々が死亡・行方不明になりました。間伐の無い密集し痩せ細った杉檜の林が、斜面の地盤を弱体化し大雨で斜面崩壊を起こしているのです。日本の殆どの山はごく一部の原生林を除いて、人が林業興業のために植樹した2次林です。元々は西日本が常緑樹林、東日本が落葉広葉樹林の
原生林でした。人々は、山を育て活用し生業とし共に生きてきました。名栗や吾野で切られた杉檜は筏に組まれ、入間川を下り、最初の宿場町が狭山市の入間川地区でした。西川材の産地として山も平地も豊かになりました。戦後林業は安価な外材におされ、産業自体が衰退してしまいました。宝の山から人々は去り杉檜は放置され、間伐も下草刈りもままならづ今日に至っています。それによる弊害によって、崩れやすい山肌、保水性の低い地盤、花粉症などの常態化が生まれてしまいました。

 平成22年までは、それでも県の予算で少しずつ間伐が行われ、危機を先延ばしにしてきました。でもその間伐では、木を下ろし製材し流通させることまでは出来ず。年々山肌のその場に木々が寝かされてきました。今は県の予算も無くなり、間伐自体が行われていません。完全に放置された山は、文字通り荒れ放題になっています。台風で大雨が降れば、名栗の山も斜面が崩壊し道路だけは、木々や土砂を除去しますが、崩れた山肌はそのままです。
 このままでは、入間川の上流に百年に一度大雨が降れば、大きな土石流が起こり人々の生活を破壊し命をも奪われてしまうかもしれません。このままでは山は死に川も死んでしまいます。

山の管理は飯能市だけの問題ではありません。入間川は一筋の流れの集合、流域全体の問題です。例え地方自治体の財政が厳しい時代といえども、放置し続ければし続けるほど大きな災害のリスクを貯蓄することになります。今山はとても危険な状況です。


 私もまだ勉強中ですが、山の植生を原生のものに戻さなければなりません。国や一部の県では実験的に混

合林化が始まっています。ある程度の財政を投入し林業を再生する案も検討されてきました。しかし十分な財源も無く中途半端な事では焼け石に水と言うことになりかねません。少なくとも広大な水源地の所在自治体だけの課題とするのでは無く、流域全体で取り組む体制作りが求められています。


 川は一筋の流域で成り立ち、そこには一体の生物生態系をはぐくみ、流域全体に文化と、人々の暮らしを築いてきました。これからも水資源だけで無く、豊かな環境資源、水の文化を継承するために行政区分に捕らわれない、流域全体の川と山をはぐくむ体制作りが必要です。それは私たち流域に住む一人一人の問題です。

自然観察指導員 伊藤 彰

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